根管治療コラム
歯の根っこ(歯根)の構造とは?本数・形・神経との関係をわかりやすく解説|歯科医師監修
この記事の結論
歯の根っこ(歯根)は、歯ぐきとあごの骨の中に埋まっている部分で、見えている歯(歯冠)よりも長いのが一般的です。根の中には神経の通り道(根管)があります。根の本数は歯の種類によって異なり、前歯は1本、小臼歯は1〜2本、大臼歯は上の歯で3本・下の歯で2本が基本です。奥歯ほど根管の形が複雑になるため、根管治療(根の治療)も難しくなります。
こんにちは、勤務医の鍵岡です。
さて、みなさんはご自分の前歯の根っこが、奥歯の根っこが、それぞれどのような形をしているか、イメージすることができますか? では本数は? 神経はどこを通っているでしょう? おそらく、これまでに歯の根の治療(以下根管治療)を受けられた方、今受けている方でも、自分の歯の根がどんな形をしていて、どの部分をどうやって治療されるのか、思い描くことができる方は多くないのではないでしょうか。そこで今回は、みなさんに歯の根の構造を知っていただきたいと思います。
歯の根っこ(歯根)とは?
歯は、口の中に見えている「歯冠(しかん)」と、歯ぐきとあごの骨の中に埋まっている「歯根(しこん)」に分かれます。この歯根が、いわゆる「歯の根っこ」です。

※画像はイメージです
- 根管(こんかん):根の中心を通る細い管で、神経と血管(歯髄)が入っています。根管治療は、この管の中をきれいにする治療です。
- 歯根膜(しこんまく):根の周りをおおう薄い膜で、噛んだときの力をやわらげるクッションの役割をしています。
- あごの骨(歯槽骨):歯根を支えている骨です。歯周病が進むと、この骨が溶けて歯がぐらつきます。
歯根の長さは歯の種類によって違いますが、一般的に見えている歯冠よりも長く、上の犬歯(糸切り歯)がもっとも長い根を持っています。
歯の種類ごとの根の本数【早見表】
上の前歯と奥歯を中心に、根の本数と根管の数の目安をまとめました。根の形や本数には個人差があります。

※画像はイメージです
前歯(中央から1〜3番目)
根の本数:1本
根管の数:基本は1本(下の前歯は2本に分かれていることもある)
小臼歯(4・5番目の歯)
根の本数:1〜2本(上の4番目は2本に分かれていることが多い)
根管の数:1〜2本。途中で合流したり枝分かれしたりすることもある
大臼歯(6・7番目の歯)
根の本数:上の歯は3本、下の歯は2本が基本
根管の数:上の歯は3〜4本、下の歯は3本が多い。根が曲がっていることも多い
歯の根の本数については奥歯の根っこは何本?歯の根の数と根管治療の関係でも詳しく解説しています。
前歯の根の構造
前歯と奥歯では、根の本数や形が異なります。前歯(中央から3番目の歯まで)の根は1本で、断面は丸みのある三角形です。そして、根の中には神経が通る管(以下根管)がありますが、そのつくりも単純で、根の数と同じ1本です。そのため、根管治療も比較的容易に行えます。前歯の神経の位置については前歯の神経はどこにある?をご覧ください。
小臼歯(手前寄りの奥歯)の根の構造
手前寄りの奥歯(4、5番目の歯 ― 小臼歯)です。根は扁平で、1本ないし2本が殆どです。後者でも、途中までは1本で先が二又になっている場合が多いです。根管の数は2本であることが多いのですが、時に途中で合流したり、また枝分れしたりとバリエーションに富んでいます。そのため、根管治療の難易度も上がります。
大臼歯(最も奥の奥歯)の根の構造

※画像はイメージです
最も奥の方にある奥歯(6、7番目の歯 ― 大臼歯)です。上の大臼歯の根の数は3本です。根管の数は各根につき1本、計3本が基本ですが、約半分の人には4本目が存在し、根管治療の際にしばしば見落とされます。下の大臼歯は根が2本で、根管は3本あることが多いです。
そして何より、根が湾曲していることが多く、それに伴い根管も湾曲するため、根管治療の器具が根の先まで届かないことも少なくありません。こういった場合にニッケルチタン(Ni-Ti)ファイルという柔軟性の高い器具が有用なのですが、それでも根管治療の難易度としては依然高いと言えます。
このように、前歯から奥歯へいくに従い、根管の形が複雑になってくるため、特に大臼歯の根管治療は難しいとされています。
歯の根っこに起こる主なトラブル
- 根の先の炎症(根尖性歯周炎):根管の中に細菌が入り、根の先に膿がたまる状態です。歯ぐきにできもの(フィステル)ができることがあります。詳しくは歯ぐきにデキモノ?放置するとどうなる…?をご覧ください。
- 歯根破折:神経を取った歯などで、根にヒビが入ったり割れたりする状態です。噛んだときの違和感や、歯ぐきの腫れが出ることがあります。
- 歯周病による歯根の露出:歯ぐきや骨が下がり、根が見えてくる状態です。しみる症状(知覚過敏)や、根のむし歯の原因になります。
根の治療中に聞こえる音については根っこの治療中に鳴っているピーピー音の正体もご覧ください。
当院の精密根管治療
根の形が複雑な奥歯でも、根管を見落とさずに処置することが、歯を残せる可能性を高めることにつながります。当院では、次のような設備と器具を用いて根管治療を行っています。
- 歯科用CT:根の本数や形、曲がり具合、根の先の炎症を立体的に確認します。
- マイクロスコープ(歯科用顕微鏡):肉眼の約20倍まで拡大し、見落とされやすい4本目の根管なども確認しながら処置します。
- ニッケルチタンファイル:湾曲した根管にも沿いやすい、柔軟性の高い器具を使い分けます。
これまでに根管治療を受けていない歯であれば、保険診療で対応できるケースが多くあります。マイクロスコープなどを用いた精密根管治療(自由診療・初めての根管治療)を選ぶ場合の当院の費用は、前歯55,000円、小臼歯110,000円、大臼歯165,000円(いずれも税込)です。治療期間や回数は、根の本数や状態によって異なります。詳しくは精密根管治療のページや精密根管治療の費用は保険適用される?をご覧ください。
よくある質問
Q. 自分の歯の根がどんな形か、治療前に知ることはできますか?
A. レントゲンや歯科用CTによる検査で確認できます。気になる方は診察時にお尋ねください。
Q. 奥歯の根管治療が難しいと言われました。当院でも対応できますか?
A. 当院ではマイクロスコープや歯科用CTを用いた精密な診査・処置により、湾曲した根管や見落とされやすい4本目の根管にも対応しています。まずはご相談ください。
Q. 歯の根が4本あると言われました。珍しいのですか?
A. 根の本数には個人差があり、本数が多いことや、根の中の神経の通り道が4本あることは珍しくありません。特に上の大臼歯では、4本目の根管がある方が多くいます。CTなどで事前に確認したうえで治療を行います。
Q. 歯の根っこはどれくらいの長さがありますか?
A. 歯の種類によって異なりますが、一般的に見えている歯の部分よりも長く、歯ぐきとあごの骨の中にしっかり埋まっています。もっとも根が長いのは上の犬歯です。
まとめ
- 歯の根っこ(歯根)は、歯ぐきとあごの骨の中に埋まっている部分で、中に神経の通り道(根管)がある
- 根の本数は、前歯1本、小臼歯1〜2本、大臼歯は上3本・下2本が基本
- 奥歯ほど根管の形が複雑で、4本目の根管や湾曲があるため、根管治療が難しくなる
- 根の形を正確に把握するには、レントゲンや歯科用CTによる検査が役立つ
みなさんも根管治療を受けるとなったとき、治療される歯はどんな形をしているのだろう、歯医者さんは歯の根のどこを目指して治療しているのだろう、などなど、普段は考えないような歯の根の構造について、思いを馳せてみてください。
この記事の監修者
呉本 勝隆(くれもと かつたか)
医療法人 時和会 理事長/クレモト歯科なんば診療所 院長
日本歯科保存学会 専門医。大阪大学大学院 歯学研究科 博士課程修了。大阪大学歯学部附属病院 保存科 医員を経て、クレモト歯科なんば診療所を開設。
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