根管治療コラム
歯医者で口に引っ掛けるフックとピーピー音の正体は?根管長測定器をわかりやすく解説|歯科医師監修
この記事の結論
根っこの治療(根管治療)のときに口の端に引っ掛ける金属のフックと、ピーピーという音の正体は、「根管長測定器(こんかんちょうそくていき)」という、根っこの長さを測る機械です。フックは電気を流すための電極で、根の中に入れた器具が根の先に近づくと、音が速くなって知らせてくれます。流れる電気はごく弱く、痛みを感じることはありません。根の先までしっかり、かつ突き抜けずに治療するために欠かせない機械です。
「神経の処置をしましょう」と先生に言われると大人でも嫌なものですよね……。
その根っこの治療は数回かかります。口の際に金属のフックのようなものをひっかけられ、そのうちピーピーと機械の音が鳴っている経験ありませんか? そしてその聞こえてくる機械のピーピー音は一体何をしているのでしょうか。
ピーピー音の正体は「根管長測定器」
あれは根管長測定器といい、根っこの長さを測定する機械です。金属のフックを使い、唾液を通じて電極を通し口腔粘膜と、根管内に入れた測定電極の先端との間の根の長さを測定するものなのです。
口に引っ掛ける金属のフックは何?

※画像はイメージです
口の端(唇の横)に引っ掛ける金属のフックは、根管長測定器の電極の一つです。「リップクリップ」とも呼ばれます。
- フックと、根の中に入れた細い器具(ファイル)が、根管長測定器につながっています。
- お口の粘膜に触れているフックと、根の中の器具の先端との間に、ごく弱い電気を流して、その抵抗の変化から根の先までの距離を測ります。
- 流れる電気はとても弱いため、しびれや痛みを感じることはありません。
フックが引っ掛かっている間は、口を大きく動かすと外れてしまうことがあります。気になることがあれば、手を挙げるなどして遠慮なくお知らせください。
なぜ根の長さを測る必要があるのか

※画像はイメージです
根っこの治療は根っこの先端まで消毒を繰り返して綺麗にする治療ですが、根っこの長さは見た目だけでは分かりません。そのため電気抵抗値を使って根っこの先端までの長さを把握します。器具が先端に近づくとピーピー音が鳴るのです。
この機械を使って根っこの長さを正確に把握し、根っこの先端まで詰め物を隙間なく充填することができるのです。
根の先まで届かないと
根の先に細菌や汚れが残り、治療後に炎症が再発する原因になります。
根の先を突き抜けると
根の外の組織を傷つけたり、薬や詰め物が根の外に出たりして、治療後の痛みや腫れの原因になることがあります。
根の長さは歯の種類や人によって異なり、奥歯では根が曲がっていることも多いため、正確に測ることがとても大切です。歯の根の形については歯の根っこの構造は?をご覧ください。
ピーピー音が速くなるのはなぜ?
根管長測定器は、器具の先端が根の先に近づくにつれて、「ピッ…ピッ…」という音の間隔が短くなり、根の先の位置に達すると連続した音や高い音に変わるように作られています。歯科医師は、この音と画面の表示を確かめながら、器具を進める長さを決めています。
音が速くなっても、痛みが強くなるわけではありません。安心して治療を受けてください。
根管長測定器だけで長さを決めるの?
根管長測定器はとても便利な機械ですが、根の中の状態によっては測定値がずれることもあります。そのため当院では、次の方法を組み合わせて、根の長さと形を確認しています。
- レントゲン撮影:器具が根の先のどこまで届いているかを画像で確認します。
- 歯科用CT:根の本数や曲がり具合を立体的に把握します。
- マイクロスコープ(歯科用顕微鏡):肉眼の約20倍まで拡大し、根管の入り口や内部を確認しながら処置します。
根管治療の流れについては根管治療の流れ、通院回数については根管治療ってどのくらい通うの?、治療後の痛みについては根管治療後の「フレアアップ」とは?もご覧ください。
よくある質問
Q. ピーピー音が鳴ると痛いのですか?
A. 根管長測定器を使用すること自体で痛みが生じるものではありません。処置中に違和感がある場合は遠慮なくお伝えください。
Q. 口に引っ掛けるフックで電気が流れても大丈夫ですか?
A. 流れる電気はごく弱く、体に影響が出るものではありません。しびれや痛みを感じることもありません。ただし、心臓ペースメーカーなどの医療機器をお使いの方や、金属アレルギーのある方は、念のため治療前にお知らせください。
Q. この機械を使わなくても治療はできますか?
A. レントゲンのみで判断する方法もありますが、根管長測定器を併用することで根の長さをより正確に把握でき、精密な治療につながります。
Q. 治療中にピーピー音が何度も鳴るのはなぜですか?
A. 根の中をきれいにする器具を、太さを変えながら何度も出し入れするため、そのたびに長さを確かめています。根が複数ある奥歯では、根ごとに測定するため、音が鳴る回数も多くなります。
まとめ
- 根管治療中のピーピー音と口に引っ掛けるフックの正体は、根っこの長さを測る「根管長測定器」
- フックは電極で、ごく弱い電気を流して根の先までの距離を測る。痛みはない
- 根の先まで届かないと再発、突き抜けると痛みや腫れの原因になるため、正確な測定が大切
- 当院ではレントゲン、歯科用CT、マイクロスコープも組み合わせて根の長さと形を確認している
根管治療について詳しくは精密根管治療のページもあわせてご覧ください。
この記事の監修者
呉本 勝隆(くれもと かつたか)
医療法人 時和会 理事長/クレモト歯科なんば診療所 院長
日本歯科保存学会 専門医。大阪大学大学院 歯学研究科 博士課程修了。大阪大学歯学部附属病院 保存科 医員を経て、クレモト歯科なんば診療所を開設。
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