2022年6月の閣議決定で、骨太の方針に「国民皆歯科健診」が盛り込まれることが決まりました。しかしすぐに始まる制度ではなく2025年の導入を目標としているようです。(2023年9月現在)
具体的には、会社などの定期健康診断に歯科健診を取り入れたり、唾液を採取する簡易キットを配布し歯周病検査をするなどの案が出されているようです。
ではなぜ政府がそれほど歯科検診を重要視しているか?について本日は投稿させていただきます。

国民皆歯科検診とは

国民皆歯科検診は「こくみんかいしかけんしん」と読みます。
歯科健診は乳幼児や小学校から高校までは保健所や学校等で行われます。しかし大人になると、義務的な健診の制度はほとんどなく、先進国の中で日本国民の歯科健診受診率の低さが指摘されています。
そのような理由からか、日本は欧米に比べて80歳時点の歯残存本数が少ない他、国民の約8割が歯周病にかかっているといわれています。とくに昨今の研究ですでに歯周病は全身への影響が大きく、生活習慣病を悪化させることがわかっています。

参考:デンタルテラス堀江

このような状況から国民の歯科検診義務化ついて議論され、2025年に導入しようという動きがあります。つまり、歯科健診によって虫歯や歯周病を早期発見、早期治療し、全身の健康を守っていこうということです。お口の中が健康になれば、生活習慣病を減らせ、ひいては増え続ける医療費の削減につながる、という目的もあるようです。

 

国民皆歯科検診のメリット

健康寿命を伸ばす
健康寿命とは単なる寿命では無く「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。
現代社会において医療の発展は目まぐるしく、様々な病気が治るようになってきました。しかし寝たきりや入院生活の長い人生よりも文字通り健康でありたいものですよね。
歯の健康と全身の健康に大きな相関関係があることは、上記の図の通りです。むし歯や歯周病などで口内衛生が悪化すれば、歯を失うだけでなく組織の腐敗によって細菌が全身へ巡り、心筋梗塞や脳梗塞、認知症といった疾患の原因に繋がる恐れがあります。
更には歯が失われることで咀嚼が困難になり、食べられるものが限られれば栄養バランスを崩すことにもなりかねません。
1989年(平成元年)より厚生省(当時)と日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という目的で始まった啓蒙活動に「8020運動」と呼ばれる運動があります。 
20本以上の歯があれば、食生活にほぼ満足することができると言われています。 そのため、「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いを込めてこの運動が始まりました。
しかし残念ながら厚生省がまとめたデータによると痛くなってから歯医者に行く日本は80歳時点での歯の残存本数は定期検診がスタンダードな考えの欧米諸国に圧倒的に劣っています。

国全体の医療費削減を目指す
政府が国民皆歯科健診制度の導入を目指す背景には、国民の健康寿命を伸ばすことで国全体の医療費削減を実現する狙いがあるとはっきり公言しています。
歯周病が誤嚥性肺炎、動脈硬化、心臓病、脳卒中、糖尿病、早産、関節リウマチ、アルツハイマー病などの病気と関係があることは前述に記載した通りです。
国民皆歯科健診の導入で早期の口腔ケアが行われるようになれば、様々な病気を予防でき、医療費の削減につながる可能性があると期待されています。

 

まとめ

本日は国民皆歯科検診の内容と背景について投稿させていただきました。導入されるのは2025年と少し先のお話しですが口腔内の細菌は待ってはくれません。
本日の投稿をきっかけに1人でも多くの方が歯科検診に通院していただけることを願っております。

最後に歯医者に行かれたのはいつですか?
早めの通院をおススメさせていただきます!
クレモト歯科なんば診療所では日々勉強を行っているプロの衛生士が皆さまの口腔内の健康をお守りいたします。
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